特集 乳幼児をめぐる保健婦活動
調査研究
乳幼児健康診査におけるアンケート使用の試み—その効用と限界を中心に
上田 礼子
1
,
古屋 真由紀
1
,
小沢 道子
1
,
岡 愛子
2
1東京大学医学部保健学科母子保健
2東久留米保健所
pp.706-711
発行日 1976年11月10日
Published Date 1976/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205767
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I.はじめに
健康の概念の拡大にともなって,乳幼児健康診査の目的は従来の疾病の早期発見・早期治療のみならず,すべての子ども達の健康の保持・増進までも包括するものに変わってきている。そして,この目的達成のために,従来の健康診査の内容の再検討,改善が試みられている現状である1〜5)。我々は乳幼児健康診査が対象児すべての身体的,精神的,社会的に最適な成長・発達を援助するという極めて高度な目標をかかげていることに注目して,これからの乳幼児健診のあり方を検討してきている6〜8)。
ところで,乳幼児健康診査の際に疾患を有するもの,発達上の問題を疑われるものをスクリーニングする一つの手段として質問紙が広く使用されてきている。これは,乳幼児期の健康を考えるときに,日頃乳幼児の健康養護にあたっている母親や養育者からの情報提供はそれなりに貴重な価値をもっており,無視できないという背景9)と,アンケートの実施は短時間に大勢の子どもを対象とする健診の場においても比較的容易に,迅速にできるというスクリーニングとしての条件を備えているためと考えられる。
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