研究
乳幼児健康診査に対する母親の満足感を測定する質問項目の検討
片川 久美子
1
,
小林 淳子
2
1板橋区志村健康福祉センター
2山形大学医学部看護学科
pp.844-849
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100206
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■要旨
「健やか親子21」における乳幼児健診に関する課題として,「乳幼児健診に満足している者の割合を増加傾向へ」という目標あげられていが,利用者側に立って満足感を測定している研究は数少なく,評価項目が整理されるまでには至っていない。本研究ではDonabedianによる質の評価の枠組みにもとづいて,健診への満足感に関連する要因として,「構造」「過程」を評価する質問項目を検討することを目的とした。
質問項目は先行研究とインタビュー調査によって作成した「健診構造の評価」20項目と「健診過程の評価」20項目および健診受診後の満足感を測定する「総合的な満足感」1項目である。調査は乳幼児健診に訪れた保護者1812名を対象とし,自記式質問紙を配布して,有効回答が得られた母親612名を分析の対象とした。
因子分析の結果,「健診構造の評価」は「健診の設定」(7項目),「全体的な会場の環境」(6項目),「診察・相談の環境」(3項目)の3因子が抽出された。「健診過程の評価」は「肯定的なかかわり」(11項目)と「否定的なかかわり」(6項目)の2因子が抽出された。各因子はいずれも高い信頼性(α=0.73~0.93)が示された。各因子の得点と「総合的な満足感」の得点との間で有意な相関が認められた。以上のことから,今回作成された質問項目は,母親の満足感の視点から乳幼児健診を評価する指標となる可能性がおおむね示唆された。
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