特集 評価について考える
保健事業評価の実際—outcome(結果)およびprocess(過程)の評価例
田宮 菜奈子
1
1南大和老人保健施設
pp.114-119
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901728
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要約
保健事業の評価にあたって,事業のどの部分を評価するのかを整理するために,quality assessmentにおける3概念:structure(構造),process(過程),outcome(結果)の理解は重要である。事業の評価としては,事業が提供したサービスを利用したことによって生じた利用者の状態を示すoutcomeに着目する方法が最も直接的で有用ではあるが,サービス利用以前の対象者の個々の状態を考慮して解釈する必要がある。この例として東京都中野区における「寝たきり者の実態調査」から,脳血管障害患者のADL改善に住宅改造が効果的であったことを示した例をあげ,方法における注意点および結果の解釈における交絡要因の考えと対策などを,疫学的側面も加えて述べた。また,事業で提供するサービスそのものを示すprocessに着目した例として,埼玉県の機能訓練事業の参加者における男女差と送迎サービスの関係を示した例を挙げた。直接のサービスの効果を見た評価ではないが,個々の効果ばかりに着目していると見失ってしまうprocessの部分を評価した方法を具体的に紹介し,地域保健事業の評価としての意義を述べた。
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