日本の女性はしあわせか・10
母性の健康
村松 博雄
,
吉武 輝子
,
松村 澄子
1
,
今尾 貞夫
2
1長橋産婦人科
2東京厚生年金病院
pp.84-88
発行日 1969年1月1日
Published Date 1969/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914351
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核家族と母性
家業ということばが,多くの家庭に無縁になって久しい。そして現在はさらに多くの家庭が,“家業”から離れていく。親子,夫婦は家業のなかで任務分担をし,協力しあっていた。この時の家族制度として家業の生産手段に,技術,雇客の伝達を軸とする家父長制が存在した。それが,資本主義の発達とともに,企業が賃金労働者を要求し,家族からひとりひとりバラバラにして連れ出すようになる。家族の生産体としての任務分担はなくなり,家は,一定のサラリーを基として成り立つ消費のみの共同体に変わり,夫婦と小さい子供の核家族へと変っていく。
商品経済が支配的となり,自家製の布,家具,食料品は駆逐され,掃除,洗濯の分野にも,社会的分業は進行し,家庭の機能はごく縮少されてきている。現在では分業化により家庭機能が,企業に奪取されたと感じるより,逆にこうした状況にならされて,家庭人が,躾のような家庭教育のことまで,他の企業(幼稚園・学校・塾)に要求,依存するまでになってきた。
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