連載 人とであって花一匁・6
私たちのこと見てますか,天国の倉田さん(その1)—突然の別れと誓い
宮崎 博子
1
1山口県防府健康福祉センター
pp.500-505
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901592
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今年も蒸し暑い夏が訪れようとしています。そして,降り続く雨に出会うとあの頃のことが昨日のことのように浮かんできます。それは,6月の半ば過ぎ,“給食ハウス”を開設する場所として閉店になった喫茶店を借りるために何度も大雨の中を大家さんを訪ねて出かけ,靴がびしょぬれになったこと。そして,やっと会えた大家さんから契約をして下さるという返事をもらえて,飛び上がるほど嬉しかったこと。たくさんのことが脳裏をかすめます。
そして決して忘れることができない,一連の事業のきっかけになったあのことが眼の前に浮かんできます。では,「あのこと」と,それを発端に始まった事業への取り組みについてお話ししたいと思います。思い返してみると,この事件,事実はその後の私の精神保健活動の原動力として,私を駆り立てる一番の要素になっているような気がします。そして,いつも私が保健婦であること,保健婦である私がすべきことを気づかせ,差し示してくれた事件であったような気がします。その事件とは,平成3年の大寒の最中のできごとでした。
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