連載 白金台365歩のマーチ—国立公衆衛生院看護コース研修生の素顔 番外編・5
公衆衛生院がくれたもの
ふるき ゆうこ
1
1石川県輪島保健所
pp.248-249
発行日 1996年3月10日
Published Date 1996/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901338
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やはり家庭と仕事のはざまの中で
石川県が,国立公衆衛生院の1年コースの看護学科を受講させるようになったのは昭和49年度からです。私はその2人目で,50年度の派遣でした。私が派遣される上で一番の問題は家庭のことでした。小学校に入学したばかりの長男と幼稚園児を置いての上京で,母親がいない家庭はバランスを欠き,さまざまなアクシデントが起きた。その時,留守を気遣ってくれた周囲の人たちの奮闘によって続けられた研修だった。
今,同じ状況で入学を勧められたとして,上京する決心がつくかどうか心もとない。仕事も家庭もノッテる時期に,女性がその一方を諦めないためにはどうしたらよいのだろうか。私の経験から言うと,両立のためには自分が多少無理をしても,気持ちの上で家庭に重心を置くべきではないのだろうか。しかし,これを実行するのはなまやさしくはない。家庭を持ちながら今受講中の方には,大きなお世話かも知れないが,家族とのコミュニケーションに時間もお金も惜しまれないように。
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