連載 公衆衛生院からの発信・1【新連載】
公衆衛生院の教育研修
上畑 鉄之丞
1
1国立公衆衛生院
pp.54-55
発行日 2000年1月15日
Published Date 2000/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902226
- 有料閲覧
- 文献概要
わが国の公衆衛生従事者は,国や都道府県の行政諸官庁をはじめ,保健所や地方衛生研究所,市町村の保健センターなど様々な場所で働いている.その数は,保健婦約2万5,000人をはじめ,医師・歯科医師約1,500人,獣医師,薬剤師各2,300人,管理栄養士1,500人のほか,放射線技師,歯科衛生士,水道監視や廃棄物処理指導員などを含めて数万人に達する.公衆衛生院は,こうした公衆衛生従事者のための卒後研修機関として1938年にロックフェラー財団の寄贈で設立された.そして,戦後50年以上にわたって第一線で活躍する公衆衛生従事者の研修を継続し,今日までに延べ3万人近くの研修修業者を生み出しており,現在も毎年数百人の各都道府県からの研修者が門をくぐっている.また国や地方自治体など現場の従事者だけでなく,大学教授として学生教育に携わる者の参加も多く,公衆衛生学の専門教育に与える影響も大きい.
こうした公衆衛生院の教育の伝統は,1948年に創立10周年の記念式典が行われた際,顧問であったDr.McCoyの特別講演のなかで,「公衆衛生の概念は,疾病の予防のみならず,健康増進ならびに人々の経済的,社会的福祉の増進にまで拡張されている」,「医学部学生にはPublic Health Mindを教えることが大切で,予防医学教育と臨床医学を注意深く統合結合して教える総合的教育計画が必要」などの指摘にもあるように,国民の公衆衛生の向上を実践的,学理的に追求するという一貫した姿勢に今も現れている.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.