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海を越えて,小さな温かい島を支援する—保健婦の離島への保健活動 鹿児島県加世田保健所・三島村
岩下 守
pp.85-88
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901310
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現在,移動保健所という形で保健所が市町村を支援するケースはあまり見られなくなっている。その一方で,多くの離島を持つ鹿児島県では,保健所がそれぞれ離島を管轄し,年に1〜3回,移動保健所,保健婦による離島へき地保健指導という形での支援を行っている。本欄では,加世田保健所の保健婦による黒島(三島村)での家庭訪問と健康相談の模様を紹介する。
三島村は薩摩半島と屋久島とのちょうど中間にあり,黒島,竹島,硫黄島の3島で構成されている。人口は約500人。取材をした黒島は,他の2島よりも人口が多く(人口約200人),村営船“三島丸”で鹿児島港から約6時間の行程の漁業と農畜産業を主産業とする島である。交通手段は,鹿児島との間を月に5〜6往復運行される三島丸以外はない。村の保健医療体制は,4地区(黒島には大里と片泊の2地区がある)にそれぞれある診療所に看護婦・士が1人ずつ常駐するほか,鹿児島市内にある村役場から唯一人の村保健婦吉元美輪さんが三島丸の運行に合わせて訪問をしている。加世田保健所が支援するのは黒島のみで,他の2島は別の保健所が管轄している。村に保健婦がいなかった平成5年までは,村予算も使って年4回加世川保健所から訪問していたが,現在は年に2回の支援活動を行っている。医療については鹿児島赤十字病院の巡回診療が頼りである。
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