連載 ジェンダーの視点から地域・生活を考える・2
男だって出産,育児
高橋 由紀
1,2
1民族学振興会
2小澤高等看護学院
pp.162-165
発行日 1996年2月10日
Published Date 1996/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901325
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フィールドワーク
1991年(平成3)年4月初旬,私はフィールドワーク(現地調査)のために,初めて山形県を訪れた。浅美町(地名・人名は仮名)には,まだ雪が残り,その間から頭をのぞかせたビロードのような福寿草の花や,若緑色のふきのとうが春の訪れを告げていた。文化人類学のフィールドワークは,長期間にわたって行われることが多い。私もなんとか下宿か借家を見つけて,2年間住み込むつもりでいた。
浅美町は人口1万42人(1995年11月現在),面積の約8割が山林におおわれ,最上川に沿って細長く集落が発達している。1954(昭和29)年に1町2村が合併,その直後から人口減少が続き,目下は生まれてくる子ども数の減少と,高齢化(高齢化率24%)に悩んでいる。りんご・ぶどう・洋梨・桃などの果樹栽培を主とする農村だが,現在は就業人口の36%しか農業に従事していない。
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