特集 老人の虐待
訪問指導を通して「老人虐待」を考える
青山 幹子
1
1東京都板橋区衛生部公衆衛生課
pp.537-539
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901173
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Aさんの事例
Aさんの長男(45歳)に初めて会った時,開口一番「私は妻を昨年がんで亡くしたんです。中学生の息子と娘がいるんです。幸い2人とも先生に褒められるほど素直に育っています」と,話された。長男は働きざかりに妻を亡くし,自営業の仕事の合間に家事をこなし,お店と少し離れた実家の家族の面倒もみています。実家には脳梗塞の後遺症で虚弱な父と痴呆症状が進んでしまった母,38歳の無気力の弟が住んでいます。
「毎日,実家の様子を見に行くんです。すると居間で毎日何もしないで,ボーっと3人が座っているのを見ると,無性に腹が立ってくるのです」と長男。
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