連載 衛生制度の開拓者たち—明治はじめ京都における政策をめぐって・17
コレラ流行
小野 尚香
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
pp.146-149
発行日 1995年2月10日
Published Date 1995/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901095
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明治期になって,コレラがはじめて流行したのは明治10(1877)年です。コレラは急性伝染性の疾患で,死亡に至ることも多く,コロリとも呼ばれた恐ろしい病気でした。明治維新前にも流行があり,それは世界的な大流行の一環として中国大陸などからもたらされました。明治10年も同じように清より長崎に持ち込まれたコレラは,西南の役の復員兵によっても伝播し,流行は拡大しました。
京都府は近県での流行を聞き,緊急に予防委員を各地区に配置しました。そして流行地からの交通の遮断,清潔・消毒や飲食物を対象とした環境衛生,患者とその家族の隔離などの施策を講じて,流行に対応していきます。
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