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寝たきりの人をベッドから起こした実例づくりが、つぎの展望を生み出す—ふれあいの輪を拡大する 大阪市生野区の高齢者地域支援システム
木村 松夫
pp.589-592
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900967
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前ページ写真上のUさん(右,40歳)は,10歳の時に脳腫瘍にかかって以来,30年間ベッドで寝たきりだった.保健婦の紹介でPT(理学療法士)の三好春樹さんがやってきて,12年ぶりに起きあがったのが1か月前.この日は20年ぶりに外出して「ふれあいのつどい」に参加することになった.「ベッドからの脱出」という今まで締めていたことができるようになると,人生はいっぺんに変わる.電動車椅子の練習にまでチャレンジして,得意気なこの日のUさんだった.
大阪市生野区が,区内に住む障害を負ったり痴呆症に悩まされるお年寄りと家族,それを支援するケアワーカーたちを対象にしたリハビリ研修会「ふれあいのつどい」を最初に開催したのは1993年(平成6)年3月だった.大阪市が推進している高齢者地域支援システム事業の一環として取り組んだものである.「つどい」は回を重ねる度に大きく膨らんで,1994年3月の第6回には,車椅子のお年寄り60人に家族・ケアワーカー360人,総勢450人が集まる,あたかもお祭りのような賑わいを見せる一大イベントに発展してきた.
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