グラビア このひと'99
岡崎和佳子さん—大阪市生野区・菜の花診療所看護婦長—街の風を感じる診療所看護
おかざき わかこ
1
,
本誌編集室
1医療法人菜の花会菜の花診療所
pp.312
発行日 1999年4月1日
Published Date 1999/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905806
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全国より一口5000円で出資者を募り,「そこに行けばなんとかなる診療所をみんなの手で」を合い言葉に,大阪市生野区にできた菜の花診療所で働く看護婦は非常勤も含めて7人.午前は外来,午後は訪問看護,夕方からまた外来と大忙しだが,婦長の岡崎さんはよく,訪問先の痴呆老人と一緒に,生野区に多く点在する銭湯に行く.
「患者の体をきれいに保つこと」と「街に出て行くこと」を自らの看護の基本にしている岡崎さん.番台で交渉し「いいですよ」となるのも簡単なことではなかった.ほかのお客さんからの迷惑そうな視線を感じることもしばしばだった.しかしそのうち,自然と手を引いてくれるようになった,ちょっと行かないと「あのおばあちゃんどうしたの」と声をかけられるようになった.また,訪問途中に立ち寄ったお惣菜屋さんがそのうちに「届けてあげるよ」といって独居老人に配食してくれるようになった.健康を害した人とふつうの生活のなかで出会うとき,最初は戸惑いながらも街は少しずつやさしくなることを肌で感じている.
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