連載 保健所長のひとりごと
保健婦活動の総合性
上木 隆人
1
1東京都東村山保健所
pp.1062-1063
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900833
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専門分化と公衆衛生の総合性
近年の医学医療の進歩は実に目ざましいものがあり,その流れに伴って専門分化は急流のように進んでいる。学会認定の専門医,認定医制度も初めは数えるほどであったが,今や標榜診療科の数ほどに増えた。まさに,1人の患者さんを診察するのに1人の医師ではできなくなっている状況である。病院内ではこれらの影響がまずは検査技師の専門分化を余儀なくし,さらに看護部門でも専門分化をもたらしている。
この医学の流れは留まるところを知らず,ますます進んでいく勢いである。しかし,保健医療の体制としてはこのままで良いはずはなく,特にプライマリーケアの場面,または家庭医の実践場面では1人の患者さんを総合的に診療できる能力が家庭医に必要である。今まで既に開業医がその役割を果たしてきている面もあるが,ただ,今までと違うのは総合的に診療できる医師がいればいいだけではなく,その家庭医と共に家庭医と病院,他の医療機関を結びつけるシステムが必要となっている。そこには医師同士の新しい信頼関係が必要となっている。
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