声
保健婦活動と政治性
田口 敦子
1
1京都府相楽郡加茂町役場
pp.237
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205256
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保健婦として活動を始めて4年。ようやく"保健婦はなにをなすべきか"の核心にはいりつつあるように感じ,期待と不安で身震いする思いである。
"保健婦の仕事は,住民の生命を守る活動である"とばく然と学び,ばく然と実践していくと,どんな事業においても必ず一つの壁に突き当って,そこから容易に前進しない。たとえば農家の主婦には総じて慢性疲労による健康破壊が著しい。その背景を探ると,農繁期における人間の限界を越えた労働強化,農閑期においても現金収入を求めてのパート化で休養ができない,狭い耕地から最大の収益をあげるための農薬大量使用による農薬公害,農産物に対する価格保障がなく収入が不安定,輸入農産物による市場不安,後継者がなく農業従事者の減少と老齢化,ニュータウン,ゴルフ場などの地域開発の波が押し寄せ耕地転売の増加……など,せっぱつまった農業破壊の現実がある。そして農業に対する諸政策は,むしろ農業破壊に拍車をかけている。
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