特集 老人保健福祉計画と保健婦の関わり
老人保健福祉計画の策定とコンサルタントの役割
中村 敦
1
1コモン計画研究所
pp.1023-1028
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900826
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
筆者が編集部よりはじめに与えられたテーマは「業者委託した老人福祉計画のメリット,デメリット」である。筆者は,いわゆる「業者」であるところの研究所(民間シンクタンク)に勤務しているが,このテーマ設定そのものに異論がある。全国3000以上の市町村が,それぞれ異なった条件や考え方のもとで老人保健福祉計画を策定しているように,シンクタンクの中身もその規模,職員の質などによって多様であることは,当然のことである。また,「業者」委託のメリット,デメリットという課題を論じようとする場合は,「業者」委託をしなかった計画事例の検証を同様の枠組みで行い,比較することが必要であろう。
確かに,一部市町村が全面委託をしたことに対する批判は可能である。しかしながら,国の出している指導・マニュアル類やそれを受けて,一部の県が管下市町村に対しモデル的に作成した計画案は,「業者」に全面的に委託した市町村同様に,市町村にその主体性を放棄させたものとして,本質的には同じではなかろうか。議論すべきことは「現在と将来の住民にとって,有効かつ質の高い計画」がいかに作られ実行に移されているかどうか,なのだと思う。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.