連載 母と子のこころの相談室—家族編・4
対立する父と子—家族の中心軸を変えるために
田中 千穂子
1
1花クリック精神神経科
pp.321-324
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900680
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1つの家族に子どもが誕生することは,これまでの夫婦2人に求められていた役割に,新たに親としての役割が与えられることになります。そこでこの新しい役割を担うことをめぐって,さまざまなことが生じます。何となくぎくしゃくしていた夫婦が,子どもを得ることによって,その子どもを仲介者としながら安定した三者関係に入っていき,家族としてのまとまりを持てるようになることは,しばしばあります。しかしその反対に,夫婦2人だけだと良い関係ができていたのに,子どもが現れた途端にその安定が崩れ,葛藤的な関係に陥ってゆくような家族もあります。
そこで今回は,父親の生育歴上の問題が子どもに投影された時,子どもがその投影を受けながらいかに問題を解決してゆき,家族の関係を変容させていくかについて考えてみたいと思います。
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