特集 母性・父性から「育児性」へ
子は父を育てることがある—パートナーシップのすすめ
藤原 和博
pp.776-780
発行日 2000年9月25日
Published Date 2000/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902483
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自分で赤ん坊を取りあげたビジネスマン
私の長女は現在4歳ですが,家族でヨーロッパ滞在中にパリで生まれました。
前日まで,パリ市内は3週間ほど続いた空前のストライキで,妻の陣痛が始まった12月20日は,病院の分娩室は満員。おまけに助産婦さんは3人の産婦を掛け持ちするという忙しさでした。たいていのパリジャンは,出産予定日を決めて,その日が来たら注射を打ち,無痛分娩を行ないます。いわゆる「予定出産」です。私たちは,長男の時から一貫して自然分娩で通してきたので,この日も医者の立ち会いはなし。フランス語しか分からない助産婦さんの手を借りて,夫婦2人だけで出産をするつもりでした。助産婦さんはベテランのようでしたが,子宮口の開きを確認して,まだ大丈夫だと思ったのでしょう。他の産婦の様子を見に部屋を出ていってしまった直後,ちょっとした事件が起こりました。
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