連載 カリフォルニア州の地域医療と保健活動・4
エイズの状況
大田屋 道子
1
1Public Health Nurse Department of Health Service, County of Los Angeles
pp.325-329
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900681
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エイズの出現
「5人の白人の若者たちが,カリニ肺炎で死んだという報告書を見て,ドクターファニン(ロスアンゼルス郡伝染病科長)が不審に思い,調査を始めたそうよ」「全員,同性愛ですって」「伝染病かしら」という会話がロスアンゼルスの保健婦の間で交わされ始めたのは,1981年の夏でした。1981年6月から,カリニ肺炎とカポジ肉腫の監視が始められ,プロファイルが作られました。
これらの症状になりやすい人の特徴としてあげられたのは,(a)同性愛・両性愛の男性,(b)注射薬物使用者,(c)血友病,(d)輸血を受けた人,(e)ハイチ出身者,(f)以上の人と性交をした人,(g)以上6つのグループに属する人から産まれた子どもでした。免疫性が低くなることから,1982年4月に,Acquired Immunodeficiency Syndrome(AIDS)という名が与えられ,1985年5月に,Human Immunodeficiency Virus(HIV)陽性患者が隔離されました。また,患者の同意のサインがあれば,HIVの血液検査もできるようになりました。1985年3月から,米国では,輸血用の血液は,HIVの検査をするように義務づけられました。また,その年から,HIV陽性の人の中に,結核が多いと学会で発表され始めました。
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