研究
酒害家族への援助のあり方について[1]—特に妻への関わりを通して
安川 眞紀子
1
,
北山 秋雄
2
,
安住 矩子
3
1北海道帯広保健所
2国立公衆衛生院公衆衛生看護学部
3厚生省看護研修研究センター
pp.300-312
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900678
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はじめに
わが国のアルコール消費量は増加の一途をたどり,大量飲酒者(純アルコール150ml/D以上)は1988年で約220万人と推計されている1)。アルコール関連問題はアルコール依存症(以下,ア症と表記)のみならず,多彩な身体疾患のほか労働災害や交通事故,家庭崩壊など多くの社会問題を含んでいる。その対策は医療中心から適正飲酒の普及や問題飲酒者の早期発見および初期介入へと予防的観点に重点が移行されてきている。
ア症は家族病と言われ,依存者本人と共に家族もさまざまな問題を抱えている。北海道帯広保健所では,精神保健相談において主に家族の相談に応じてきた。これらを契機に保健婦が関わった酒害家族に対して,効果的な援助方法を模索しながら“妻同士の話し合いの場”づくりを試みた。この経過を事例を中心に振り返り,酒害家族に対する保健婦の援助のあり方を検討した。
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