研究
東京都における在宅痴呆高齢者の現状と課題(第1報)—対応困難なケースを中心に
露木 敏子
1
1東京都中部総合精神保健センター
pp.51-59
発行日 1993年1月10日
Published Date 1993/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900630
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はじめに
長寿国を誇るわが国ではあるが,かつて経験したことのない急速な人口の高齢化は社会に多くの問題を引き起こした。中でも痴呆性老人の問題は避けて通れない社会問題となっている。しかし,治療法や新薬の開発・介護援助システムなど,いまだに確立されていないという現状にある。近年,地域の保健所・関係機関での相談件数の増加および相談内容も困難度を高めてきている。
昭和62年度の福祉局が行った東京都の痴呆性高齢者実態調査で,在宅痴呆性高齢者が約4万4000人と推定されたことから,東京都は昭和61年度第四次精神衛生対策委員会の報告『痴呆性老人の保健医療対策事業について』の提言を踏まえ,昭和63年度から「痴呆性老人精神科専門医療事業」を開始した。本事業は東京都が全国に先駆けたユニークな方法であり,また都民のニーズも漸次高まってきている。
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