発言席
街の暮らしと健康—保健婦との出会い
宮川 齊
1
1三鷹市医療と福祉をすすめる会
pp.257
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900456
- 有料閲覧
- 文献概要
保健所を知らなかったことはない。未だ幼かった頃,母に手を引かれてK保健所に行ったのが最初の記憶だろうか。その次はシロだ。小学校に上がる前から飼っていた犬で,狂犬病の予防注射に連れて行った。犬でも様子が分かるらしく,保健所の建物に近づくと,ウーッとうなって地面に足を踏み締め,小学生の僕の力では苦労したものだ。その頃の保健所のイメージは白い無機質なもので,それが固定したまま随分と時が経った。あの頃,保健所の何を知っていたのだろう。
保健所との再会は,結婚して子どもが生まれた時だ。未だ不慣れな親である若い2人にとって,自転車でやってきた保健婦の言葉・物腰は“安心”を与えてくれた。障子越しに太陽が明るい穏やかな冬の日を思い出す。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.