連載 リレーエッセイ 医療の現場から
高齢化進む団地の商店街に「暮らしの保健室」開設
秋山 正子
1
1白十字訪問看護ステーション
pp.985
発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102167
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「空き店舗を,安く貸してもいいですよ」
白十字訪問看護ステーションがある新宿区には,「戸山ハイツ」というとても大きな団地があります.昭和43~51年に建設され,総戸数3000戸,高層から低層まで35棟に約6000人が暮らしています.高齢化が急速に進み,高齢化率はなんと46%,しかも1人暮らしが多い地区です.孤独死問題をマスコミに取り上げられた戸山団地とは少し様相を異にするものの,階段室しかない古い住宅に高齢者が住んでいる状況は,要介護状態を作り出す環境要因が山積みです.
この戸山ハイツの1階に長屋のように並ぶ商店街,その一角に2011年7月1日,「暮らしの保健室」がオープンしました.きっかけは,空き店舗のオーナーが,2010年11月に新宿区主催,NPO白十字在宅ボランティアの会と白十字訪問看護ステーションの企画運営で行った,在宅医療推進のためのシンポジウムを聞きに来られたことでした.民生委員として永年地域で活動しているオーナーは,年末で契約が切れる空き店舗を,地域の福祉に役立つよう,心ある人に使ってもらいたいと思っていたそうです.
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