連載 地域ターミナルケア—看とりを支える沼隈町の通所訓練教室・7
黒木さんとの関わり
山成 幸恵
1
1広島県沼隈町
pp.146-150
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900432
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がんこじいさん黒木さんとの出会い
1990年,8月,夏まっ盛りのある日。1人の初老の女性が相談にきた。—「夫が病院を退院したが,大きな床ずれができている。もう何年も歩いたことがない。車椅子を貸してほしい。息子夫婦に先立たれ,孫2人もあてにならず,自分1人で介護している」太った身体で痛む足をひきずり,疲れた顔でその人は相談室の椅子で涙ぐんだ。
黒木清,78歳。65歳まで大工職人をやってきた。若い頃より右足が悪く仕事をやめてから寝たり起きたりの生活が多かった。1990年4月から8月まで,肺炎で町内の病院に入院。往診してくれる開業医に紹介状が出され軽快して退院するが独歩不可。褥瘡あり。
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