「脳と神経」への手紙
黒木茂一先生へ
藤田 信也
1
,
長谷川 有香
1
,
永井 博子
1
1長岡赤十字病院神経内科
pp.993
発行日 2001年10月1日
Published Date 2001/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901857
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拝復
私どもの脳・脊髄のMRI画像アトラスに対してご意見をいただきました。マイコプラズマ感染症を裏付ける根拠に乏しいのではないか,とのご指摘と思います。症例のマイコプラズマ抗体価は,粒子凝集反応(PA)で検討されました。ELISA法は,コマーシャルベースで測定することはできませんでした。寒冷凝集反応とマイコプラズマ抗体価は,3ポイントで検査されました。入院時と2週間後,および8週間後で,それぞれ512倍と80倍,1,024倍と80倍,そして256倍と40倍です。マイコプラズマ抗体価の変動は4倍以上ではありませんが,寒冷凝集反応と平行して変動しており,上気道感染の先行感染があったことから,マイコプラズマ感染症を疑いました。本症例のように,広範な病変をきたした報告は稀ですが,同様の画像所見を呈する報告もあり,マイコプラズマ感染後の急性散在性脳脊髄炎と考えて良いのでないかと考えます。なお,EBウイルス抗体価は,ELISA法で人院時IgMは陰性でした。
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