連載 母と子のこころの相談室から—思春期・4
『母なるもの』からの自立—抑うつ感の強い青年のケースから
田中 千穂子
1
1花クリニック精神神経科
pp.61-64
発行日 1992年1月10日
Published Date 1992/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900414
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前回は,登校拒否の子どものケースから,ひきこもりの時期を支えることの大切さについて,そして思春期は『死と再生』のテーマを生きる時期であるので,援助者がこのテーマから逃げない姿勢が必要であるということをお話ししました。
氏原3)は,それまでの絶対的主観的な思い込みの世界から,相対的客観的な認識を踏まえた世界に生まれ変わることが思春期のテーマであり,それには『夢壊しの作業』が入っている,と述べています。つまり子ども時代にはそれなりに夢を描いてきたけれども,思春期になると自分の劣等性が見えてきて,努力しても思うようにならないこともある,ということを受け入れなければならなくなります。
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