発言席
十人十色の子育てを
丸本 百合子
1
1同愛記念病院産婦人科
pp.423
発行日 1991年6月10日
Published Date 1991/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900244
- 有料閲覧
- 文献概要
十人十色という言葉がある。女たちはそれぞれが,それぞれの人生,それぞれの思いの中で子どもを産んで育ててゆく。生まれたばかりの赤ん坊も,泣き方,手足の動かし方,おっぱいの飲み方,眠りのパターン,みんなそれぞれに個性的だ。
結婚したらあんまり深く考えないうちに子どもができて,なんとなく母親になってしまったケース,まだ子どもを持つつもりなどなかったのに妊娠してしまい,あれこれ悩んだ末,産むことにしたケース,なかなか子どもができなくて,長い間待ち望んだ末に妊娠し,妊娠中の生活すべてに気を遣いながら出産するケース,妊娠中父親になる人と死別・離別という困難な中で出産するケース,はじめからシングルマザーを決意するケース,からだに障害を抱えながら,ボランティアたちに支えられて子どもを産むケース,女が子どもを産む周辺には,1人ひとりさまざまな状況がある。だから子育てにも,それぞれの女たちが子どもに寄せる思いが反映されて,みんな個性的なものになって当然だ。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.