発言席
保健婦と産婦人科
関根 憲治
1
1関根産婦人科医院
pp.255
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900213
- 有料閲覧
- 文献概要
高校時代の親友に,カソリック教会の牧師の息子がいた。「若菜集」などでロマン主義的詩風を示し,小説「破戒」によって,自然主義文学の先駆となった島崎藤村の夫人も常連であった小さな城下町の由緒のある教会に,私は日曜ごとに通った。もちろん,今でもクリスチャンではない。もっとも,青春の真っただなかにいた私にとって,若いきれいな女性が沢山みえる教会は,戦禍の余燼のまだ消えぬ殺伐たるあの頃では,夢のような聖域であった。
その教会の聖書輪読会で,家族の大切さということを教えられた。家族とは人間集団のもっとも小さな生活単位だと思うが,戦前の家族制度からは考えられないほど,今では家族というものは大変な変貌を遂げた。時代の趨向としては,これからますます家族というものは崩壊していくだろうと推測されるが,人間はやはり心のオアシスである家庭,家族がないと寂しいのではないだろうか。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.