焦点 事例研究と仮説
私論
事例検討から"研究"へのプロセスと"仮説"について
川島 みどり
1
1東京看護学セミナー
pp.17-22
発行日 1980年1月15日
Published Date 1980/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200602
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
事例研究について
看護研究の中で,事例研究の占める位置はかなり大きい。特に現場の看護婦のあいだで,事例研究への関心は高いようである。だが,現在看護界で発表されている事例研究と呼ばれているものの中には,厳密には研究とはいい難いものが多いとして,事例報告とか,ケーススタディ,ケアスタディという用語を用いたほうが抵抗がないという意見もある。
そこで今回,編集者より与えられたテーマ"事例研究という領域で仮説が必要か否かを問う"ことを検討するにあたって,事例研究の範囲をどのようにとらえるかということが問題となる。看護界においてはまだ統一した見解はないが,文献を散見した限りでは,"事例研究"という場合,1人の患者,1組の家族,1つのケアといったように"個"を対象とした研究であるとの了解があるように思われた1)。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.