連載 DV被害者に看護師ができること・11
事例検討をケアへ活かす
友田 尋子
1
1大阪市立大学医学部看護学科
pp.300-305
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100119
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
DV被害の事例から考える
殴る,蹴る,引きずり回す,首を絞めるなど,DVの場合の身体的暴力は凄まじい.逃げても連れ戻され,離婚も簡単にはできず,逃げ場所や相談場所を知る術もなく,家庭内で暴力を受け続ける.暴力を振るう夫から逃げられず,「殺される」と思うまで我慢する女性は多い.
しかし,夫から人間として扱われることのない日常生活の中に身を置きながら,その夫から時々蜜のような甘い時間を与えられることで,夫に感謝さえする被害女性は多い.「実は悪い人ではない」と自分に言い聞かせながら,彼のわずかな良心をよすがに,支配され暴力を振るわれる生活から逃れようとしない女性がいる.こうした女性への世間の視線は冷淡である.必死の思いで夫から逃れられたとしても,追いかけてくる夫に怯えながら,ひっそりと暮らしている女性や子どもが,この社会には数多く存在する.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.