研究
保健予防型デイケアにおける保健婦の役割—痴呆性老人デイケア実践報告
堀井 とよみ
2
,
辻 元宏
1
,
滋賀県水口保健所保健婦
,
水口町保健センター保健婦
1滋賀県水口保健所
2水口町保健センター
pp.1105-1113
発行日 1989年12月10日
Published Date 1989/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207867
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
人口の高齢化に伴い,地域における総合老人保健対策が必要になってきた。特に痴呆性老人を中心とする老人性精神疾患患者に対する在宅ケアシステムの開発が急務であると考えられる。
62年度より,水口保健所を中心にして,血管性痴呆予防対策の一貫として在宅老人生活実態調査が開始された。このモデル町として水口町が指定されたことを契機に在宅ケアのあり方を検討した。特に精神身体症状を有し,問題行動を起こしている痴呆老人への対応は,今まで医療施設収容型対応が主で,デイケアの開設も家族の看護軽減を目的とした老人福祉施設が中心になっていた。ところが老人保健法の施行以来,老人保健対策は老人と家族との関係を保ちつつ,地域のなかで看護するという在宅ケア中心へと変わってきている。そこで,水口町では今までのような介護者の負担軽減のみを目的とした福祉サービスとしてのデイケアではなく,介護者の負担軽減はもちろんのこと,障害老人にも積極的に働きかけ,治療的方向性をもっデイケアの展開を試みた。したがって参加老人の家族の条件として,その介護者が今後も在宅ケアを続ける意志があることを前提とした。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.