研究
地域保健活動における問題志向システム(POS)の活用
佐藤 美由紀
2
,
中村 道彦
1
,
辻 元宏
2
,
滋賀県水口保健所保健婦
2
1東京都精神医学総合研究所
2滋賀県水口保健所
pp.1114-1123
発行日 1989年12月10日
Published Date 1989/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207868
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はじめに
POS(problem-oriented system)とは問題志向的に病歴を記載するシステムのことで,Weed L. L.(1968)が内科の診療記録を分析可能な形式に開発したものである。すなわち,患者の治療情報に科学的論理性のモデルを応用し,科学者の研究記録に値する診療記録をめざした。
POSの目的は,①problemを明確にとらえ,治療のための思考手段となること,②problemに対して解決策を計画し,実践可能な形で記載できること,③経過を一定の形式で記録し,最終的に監査可能な経過記録を作成することである。この目的は,地域保健活動の展開とも一致する。しかし日常の訪問や相談業務を振り返ってみると,ケースの訴えが,身体的精神的疾患から家族内葛藤,経済的問題まで多岐にわたるために,保健婦はケースの全体像を把握できなくなったり,目前の現症に振り回されて,援助の方向性を見失う経験をもつ。
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