連載 島根県の重点地区活動―地域がどよめき,芽吹く・29
公衆衛生をになう保健所活動を—保健所のあり方と重点地区活動
新田 則之
1
1島根県益田保健所
pp.130-136
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207695
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公衆衛生をになう保健所活動を
保健所のあり方がいろいろ論議されている。1987年〈地域保健将来構想検討会(厚生省)〉が発足した。この会にむけて全国保健所所長会は〈保健所将来構想検討委員会〉を設置した。この委員会から各県保健所所長会あてに〈将来における保健所についての基本的な考え方(構想)〉に関するアンケート調査が実施された。島根県保健所所長会の回答を,書くペースも限られ断片的な文章となっているが,まずみてみたい。「公衆衛生について,アルマ・アタ宣言では『人々は個人として,また集団として保健の企画と実行に参加する権利と義務があり,住民ぐるみの活動とは個人と地域社会が保健専門家や他の関係者としっかり結びついて諸活動の計画を立て,実行するうえで一体化した活動をし,責任を持つ過程である』ことを強調している。さらにオタワ憲章では『より良い健康を達成するため具体的で効果的なコミュニティ活動を通じて効果を発揮する』としている。地域の公衆衛生をになう保健所は,第一線の,専門的,中核的機関の役割を果たさなければならない。そのためには,①地域の健康実態,生活実態(ニード)の把握,分析,予想,②それに基づく保健計画の立案,実行,③計画,活動の評価,が保健所活動の大きな柱になる。①,③においては,健康診断,アンケートなどの検査,調査に基づく疫学研究機能の強化が必要となる。このこと抜きには地域特性を大切にすることにはならない。
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