発言席
健康と食をめぐる複雑な状況
笹野 武則
1
1生活問題研究所
pp.817
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207059
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近年,国民の"健康"や"食生活"に対する関心が従来にも増して高まっている。そのことは,最近発表された総理府の世論調査結果でも明らかであるし,私の所属する研究所が毎年実施している全国の生協組合員を対象とした調査の結果にも如実に示されている。つまり,現在の食生活に不安を感じている人は7割前後に達し,なかでも食品添加物や農薬などの食品の安全に対しては6〜8割もの人が関心を持っているのである。
1983年の食品添加物規制緩和に反対する運動が,生協や消費者団体ばかりではなく,農協等の農民組織や労働組合など幅広い階層の人たちの運動として取り組まれたことは,こうした国民の"健康"や"食生活"に対する関心の高まりを反映したものだといえよう。
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