事例
あつ子さんの社会復帰
大須賀 恵子
1
1愛知県岡崎保健所
pp.802-806
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206733
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はじめに
老いた母があつ子さんと3歳の孫を連れて32条申請(通院医療費公費負担申請)のため保健所へやって来たのは,56年10月のことである。相談員が不在だったため,ちょうど席にいた私が応対した。申請書を受け取った後,母が何か言いたそうにしていたので聞くと,「あのねえ,この子は5年ほど前から生理がないんだけどねえ。民生委員に相談したら,保健所で相談するように言われたもんで今日は本人を連れて来たんだけど……」とのこと。担当保健婦も不在であったため私がかわって話を聞くことにした。
面接室へ入ってもらったが,母はよく話すのに肝心のあつ子さんは表情も暗く,問われることに対してうなずくだけであった。家で子供の面倒をみる以外は何もしていないと言う。保健所の社会復帰事業山びこクラブへの参加を勧めたが,母が連れて行かなければ,どこへも行けないので参加はむずかしいとのことであった。
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