発言席
大切な住宅と健康の関係
早川 和男
1
1神戸大学工学部
pp.737
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206725
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昨年11月3日発足した第1回日本住宅会議の席上,1人の若い保健婦がつぎのような報告をした。
ある家庭を訪問すると,陽の射さない薄暗い部屋で赤ちゃんが眠るともなく起きるともなく終日うとうとしている。こういう環境のなかで育っていく赤ちゃんは将来どんな人間になるのだろうかと恐ろしい気がした。せめて窓ぎわにでも移しなさいといいはしたが,家を変えない限りどうしようもない。また,ある寝たきり老人は小さな家の2階で生活している。階段が急なので自分で降りられず,外へ出られない。道が狭いので入浴車も近寄れない。そのためからだはどんどん衰弱していく。保健婦の仕事である衛生知識の普及だけでは限界がある。住居をよくしなければ健康を守れなくなっているのではないか,と。
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