連載 質の高い援助を考える・9
保護施設で生活する自立困難な家族の援助をめぐって(I)
杉田 チヅ子
1
,
中重 喜代子
1
,
平賀 春美
1
,
安藤 登志子
1
,
渡辺 光枝
1,2
1事例検討会
2東京都江東区深川保健所
pp.780-783
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206572
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この例は,6年ほど前に検討されたのであるが,"ふりかけのりだけのお弁当を持って保健所まで歩いて来た家族"という印象が我々の中には鮮明に記憶されている。この家族は,生活保護費をもらうと家中で毎日動物園などへ出かけ,お金を数日で使いきってしまい,あとは佃煮とふりかけのりとごはん,という生活であったが,屈託なく,家族がいつもまとまって行動している様子に,我々はおおらかさや,あたたかさを感じたのであった。
しかし,成長していく3人の子供をかかえ,都会の中で生活していくとなると,実生活の面では多くの危険性をはらんでいる家族であった。我々はこの家族がその後どうなったかと,ずっと気がかりであった。今回,討議経過をまとめるに当たり,その後,妻の浮気,夫の飲酒癖,育児放棄など,次々と問題が起こっていたことを知った。
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