特集 北海道開拓保健婦の足跡
住民と共に生き,共に働き……
思い出
開拓の人と一緒に頑張ったあの頃
貞広 梅
1
1美唄保健所
pp.22-25
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206458
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昭和30年着任,青年が待ち構えるかのように保健婦を迎えに来た
最初の赴任地は美唄市であった。夕張から暖かいうちに汽車に乗りようやく朝9時の出勤時に間に合った。夫と子供2人を夕張の姑のところに預けてきたので,今夜からは下宿住いである。昭和30年11月11日ただ今着任,役所の席に着いたばかりで,同室者の紹介もまだなのに,窓口に1人の開拓地の青年が私を迎えに来た。
"今日から保健婦が来る"ということが以前から話題になっていたようで,話を聞くと何と「今夜あたり,妻がお産をしそうだから来て泊ってほしい」とのことである。話を聞きびっくりしたが,断わるわけにもゆかず早速出かけることにした。助産に必要な器具は,鞄に入れて持っていたが,美唄という街の右も左もわからず,ただその青年の言うままについて行った。青年は,これから用事を足して帰らなければということで,青年に言われた場所でバスを降り地図を頼りに歩くこと数10分,やっとそれらしい農家にたどり着いた。
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