母として，先輩として……あなたに限りない讃歌を

あっ，母さんを迎えに来る！

　北海道の東部，国鉄の駅から12キロ程離れたところに，私がもの心ついたころから母は働いていました。

　山の中の1軒屋，冬のシンシンと凍る夜，両親と6人の兄弟は肩を寄せ合って寒さをしのいでいました。外には物音ひとつありません。そんな時，遠くの方からかすかに雪を踏みしめる音が聞こえると，一瞬子供たちは，ハッとして息をひそめます。