連載 公衆衛生看護論を中心とした教育実践・1【新連載】
看護婦基礎教育と保健婦教育の統合化の試み—公衆衛生看護論を中心とした教育課程編成の意図
深沢 華子
1
,
種田 智恵子
1
,
杉本 竟子
1
,
渡部 恭子
1
,
岡屋 恵久子
1
,
秋元 喜和子
1
1北海道立衛生学院保健婦科
pp.1037-1043
発行日 1980年12月10日
Published Date 1980/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206325
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I.はしがき
保健婦教育課程が改正されてから10年目である。看護教育の一元化をめざし,看護教育の充実発展が意図された先見の明のあるカリキュラム改正であることを評価することはできるが,改正カリキュラムによる教育が軌道にのり,改正意図にそった教育効果をあげていくためには少なからぬ隘路がある。しかし,戸惑いながら教育実践を積み重ねるしかない。戸惑いがなぜ生ずるかについては,岩下の"保健婦教育のカリキュラム改正の意図とその成果"1)に詳しく問題提起されている。補習的看護教育という看護婦教育の影響をうけて成立する,極めて流動性に富む不確定な要素を取り込み教育実践することに戸惑うのである。又,教育内容の一元化が先行することによって看護実務の領域にも混乱が予期されることであった。
カリキュラム改正以後,当科においても看護婦課程の基礎をどのように保健婦課程で発展させて看護の基礎教育を完成し,かつ保健婦としての社会的役割を認識させるかについて戸惑いながら,教育実践を試みてきた。特に教育課程の組立てとその展開における教育方法に試みをもって実践し,経過してきたところである。しかし看護教育の統合化を意図すればする程,看護婦課程の基礎をどのように評価し,保健婦課程で何を補完するかが課題となる。例年,30数校から80名の入学者を迎える当科では大変重い課題であり悩みとなっている。
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