発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906942
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生活保護と醫療について,という題を送られて頭のにぶい私は一體何を書けばよいのか判斷がつかないので,私がたえず氣にしていること,「貧窮の最大原因である疾病を豫防することに國も人も,もつと力を入れなければ,生活保護法がいくら改訂されても焼石に水であり,税金は大海に流されるのではなかろうか。Social WelfareのためにはPublicHealthがさきに解決されなければ,つまらぬ浪費が績けられるのではなかろうか」ということに答が頂けるよい機會であると考えましたから,編集者の意圖を外すかもしれないがお赦しを乞うて書くことにいたします。
社會保障制度に關する報告が約1年前私たちの前に公表され人の好い國民はすぐにも實施されて英國の國民醫療,裸で入院しても退院する時には病院から一切の被服まで給されるという徹底したサービスや,ソ連の醫療國營のようにまでは行かなくとも,病氣の豫防と治療は今よりは簡單に公平に受けられるであろうなどと,甘い考えになりました。處が本年6月9日には東京の歯科醫師會長が社會保障制度亡國論をもつて國民健康保險制度に對する反對決議をしたということをきき,最近の雑誌では,大内先生が「勧告を紙屑にしないよう」と言つておられるを知つて,やつぱり貧乏人は病氣になつたら,どうすればよいだろうと自問しています。
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