発言席
"看護一本化"問題に思う
秋山 文吾
1
1神奈川自治体問題研究所
pp.89
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206210
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いま健康破壊のひろがりのなかで,国民は大きな不安に包まれている。書店に氾濫するおびただしい"健康図書",毎日の新聞に折り込まれるさまざまな"健康法"や"健康食品"の宣伝物に迷いながら,健康を守るための正しい指針を真剣に求めている現状と言えるのではないか。
政府の"国民健康づくり対策"が,健康破壊の真の原因である社会的矛盾に対する国民の批判をそらし,地域における草の根保守体制再編成という狙いを"健康づくり"という耳ざわりの良い言葉で覆いかくし,自治体が住民の要求にもとづいてとりくんだ創意的施策を,わずかな補助金を餌にして国の方針によって地均しをする,自治権圧縮の性格をもつことを指摘されてきながら,"健康づくり対策"の中心的な役割を担う市町村保健センターづくり,地域推進協議会の設置が着々とすすめられている現実は否定できない。
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