特集 訪問看護と保健婦の活動—横浜の保健婦が体験しつつあるもの・1
ねたきりの期間が短い人がふえた
田中 ふみ
1
1横浜市緑保健所
pp.427-429
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205998
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昭和44年の分区により港南保健所が発足以来,毎年1〜2回福祉事務所との連絡会議をもち,業務の紹介,ケースの連絡等を行っている中で,ホームヘルパーからねたきり老人の看護に関する質問や,訪問看護の依頼がだされるようになった。保健婦としても,ただ依頼に応じるだけでなく,地域の中のねたきり老人の実態を知るために,家庭訪問を行い今後の方向について検討をしていこうということで,昭和48年の訪問計画の中にとりあげた。
訪問を重ねてゆくうちに,家族の介護がゆき届いて恵まれていると思われる老人は少なく,悪臭を放つ布団の中にジッと家族の帰りを待っている老人。家族がいても老齢で身体の不自由な配偶者が付添っているため,褥創ができてもそのまま放置されている老人。日当りの悪い暗い部屋にただねているだけの老人。家庭看護を必要としている老人等保健婦がかかわることによって改善されるのではなかろうかと思われる老人が多く,どんなに看護の手を待っているかが切実に感じられた。と同時に,保健婦の努力だけではどうすることもできない現状にゆきあたった。
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