連載 活動の中から
小春日
吉田 幸永
1
1京都府日吉町
pp.178-179
発行日 1978年3月10日
Published Date 1978/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205958
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毎月の第2月曜はT地区の健康相談日である。ところが当日は,胃癌の集団検診日と重なって1人の保健婦が同じ時間に2か所をかけもちしなくてはならなくなった。課長は「今回は胃の検診の方に行って,T地区の相談日をかえてもらってくれ」と言った。就任6か月目の保健課長はT地区の相談日のできたいきさつを知らない。地区の人々,婦人会の役員→地元の町会議員→町役場への要求過程を知っていないから,安易に相談日をのばしてもらえなんて言えるのだ。
住民の人々(主権者)が,自治体へ要求をあげてくるのはほんとうに勇気のいる行動なのだ。この行動が身につくまでに,保健婦は住民主権の考え方をくりかえし,くりかえし言い続けた。本音は,役場が何や,町会議員が何や,と反ばつ心を持ち続けている人々にわかってもらい行動にうつしてもらうまでには,それこそ何ものにも崩されない信念が必要だ。それが今,「相談日をかえてもらえ」と人の苦労も知らないで平然と言いきる課長の発言に"よし!"と思う。
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