特集 地域精神衛生活動の一つの試み
ひとり暮らしの精神分裂病を病む老人の生活と保健婦の援助活動をめぐって
おわりに
pp.419-420
発行日 1977年7月10日
Published Date 1977/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205874
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以上,昭和49年の第5回地域看護学会において,"地域保健婦の精神障害者への援助過程における問題とその対応の試み"と題するケース-スタディを中心とした報告のうちの1例について,その対応の過程をより詳細にたどってみることを試みた。ふりかえってみて思うのは,働きかけをしているときも,またそれをまとめ,書き表わしているときも,私たち報告者らは上野さんに"そのときどきに何をしたのか,そして何ができて何ができなかったのか,またそれはなぜか"といった疑問を自らに問いつづけながらの苦しい仕事であったということである。何度も連絡をとりあったり話しあったり,それぞれが自分のしていることや,しようとしていることの意味を確かめあった。しかもその過程を文字に表わし,人に伝えようとしはじめると,自分たちのしたことのあいまいさが出てきたりしてよりいっそうむずかしくなった。この作業はしばしば中断したが,そのつど上野さん自身の自立への動きに触発されて再び開始するといったくりかえしであった。
先の学会報告と比較してみると,学会においては,保健婦が精神障害者に対する援助活動をすすめていく"よりどころ"は何であったかを究めようとしているようにうけとれる。すなわち,五つの側面を重視してそれにそってケースと保健婦との対応の過程を考察している。
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