特集 失語症研究カンファレンス
おわりに
相沢 豊三
pp.249
発行日 1971年6月30日
Published Date 1971/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904718
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各分野の方からいろいろ有益なお話しを承り,得るところが多大でありました。私としては,私なりに感じたところを医学的面から申し述べさせて戴きます。
この会は失語症研究会でありますから,失語を中心として議題が進むことは当然でありますが,先程,祖父江先生からお話しがあつたように失語という症状に伴う他の異常所見を見落してはならないと思います。何故ならば,そのような総合的観察によつて何が失語をひきおこしたのか,その本態を究めることができるからです。これには詳細な精神神経学的診察を必要とし,最近では,脳波,脳循環,脳血管撮影など有力な補助手技によつてかなりに病態が明らかになつてきました。失語の多くが脳血管障害によることを省みますとなおその感を深くするのであります。本態を捉えてあれば,神山先生の言われるリハビリテーションの限界もおのずから定まる訳であります。リハビリテーションは,予防治療に次ぐ第3の医学であるとはいえ,その間に線をひいて別物とすべきものではありません。理論的に正しい治療がよく為されてのリハビリテーションでなくてはなりません。
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