特集 地域精神衛生活動の一つの試み
ひとり暮らしの精神分裂病を病む老人の生活と保健婦の援助活動をめぐって
各時期における考察
pp.391-413
発行日 1977年7月10日
Published Date 1977/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205872
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第I期:互いに知りあい,受けいれるまでの時期(図1参照)
福祉事務所のケースーワーカーから問題がもちこまれ,入院の説得をしてほしいとの要望があったが,該当地区担当のI保健婦は,まず本人に直接会って話しあってみることが先決と考えた。
上野さんは訪ねていった人とはだれとも会おうとはしなかった。だれかが自分に危害を加えるのではないかと必死に自分の生活を守ろうとしていた。こうした上野さんの目には最初に接触を試みた担当の保健婦はどんな人として映ったのであろうか。"自分の周囲の人は自分に何か不利なことをしようとしている"と思いこんで警戒心をつのらせていたこの時期の上野さんにとって,I保健婦も例外ではなかったに違いない。
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