特集 結核—看護の対象としてとらえてみると
調査報告
肺結核再発者の調査からみた看護上の問題点
吉野 喜代子
1
,
飯田 澄美子
2
1神奈川県立長浜病院
2神奈川県立衛生短期大学
pp.75-81
発行日 1977年2月10日
Published Date 1977/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205803
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Ⅴ.要約
肺結核再発者18名をそれぞれ面接し,看護の立場から再発要因について分析・検討した。その結果
①再発要因は,家庭環境,仕事,本人の生活方法,治療中絶,病状,その他の6群に分類された。
②継続治療の指示を受けた者の内56%の者が治療を中絶し,その理由は個々様々であった。
③服薬を中断した者は,全員入院経験者で,特に独身の単身生活をしている男性に多かった。そして中絶した者は,指示どおり服薬した者より早期に悪化していることがわかった。
④定期的に検診してい緒は,健康管理体制の整った職場にいる者に多く,又本人の性格によるところが大きく,保健指導の効果としては考えがたい。
⑤治療中絶者のほとんどは,悪化までの間積極的な働きかけもなされず,放置されていた。
以上の結果から,今後の課題として,地域医療活動の中での入院中及び退院後の保健指導のあり方,結核既往者に対する地域での患者教育のあり方,職場内での健康管理方法,治療中絶者に対する医療施設内での管理及び地域との連携,地域社会における生活の場における看護のあり方などについて今後検討されなければならない点が指摘された。
稿を終わるに当たり,この研究にご協力いただいた病院の諸先生及び看護婦の皆様に厚くお礼申しあげる。
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