食と保健指導 地域小集団における保健活動の評価尺度(7)
地域看護論の陥穽
豊川 裕之
1
1東京大学医学部保健学科疫学教室
pp.666-671
発行日 1974年12月10日
Published Date 1974/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205546
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はじめに
先月号において,集団を取り扱う立場と個人を取り扱う立場との相違が,基本的には,各人の共通性(共通的特性)を重視することと,個性(非共通的特性)を尊重することの相違に帰結するとし,そのことが保健活動という個人と集団とを同時ないし併行に取り扱う業務においては,その評価や計画を困難なものとし,抜き難い混乱を引き起こしていることを述べた。そして,この対象の多様性とそれ故に生じている了解の相違についての認識を欠いていることが保健婦のジレンマを増幅し,保健婦の仕事を評価できなくしていることを強調した。又,更に,そのジレンマを克服するために,いわゆる了解の諸相について解説し,人間の認識の実体ないし了解する能力の特長についてドキシアディスの模式図を引用して説明した。
さて,前月号では説明が不十分であったことについて補足しながら説明を進めよう。
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