連載講座 がんの疫学・3
がんにおける原因探究の方法
丸地 信弘
1
1東大医学部保健学科・保健管理
pp.283-287
発行日 1974年4月10日
Published Date 1974/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205467
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はじめに
科学における問題アプローチは,観察による問題の認識にはじまり,それに対する仮説の設定と検証,さらにはその結果を対策に生かすというステップを踏むものであり,がんの疫学における問題探究の場合もその例外ではない。
これまで2回にわたって,日本を中心としたがんの疫学的実態と,生活環境とがんの関係についてそれらの概要をのべてきた。したがって,今回は実地に問題を発見し,がんの疫学的アプローチを試みる場合の手順を中心にのべてみたい。もちろん,読者諸姉が保健婦業務でそうしたことを日常的に行なうものでないことは,著者も十分に承知しているが,そのような基礎知識を身につけておけば,かりにある疾病の地域的発生が生じた場合も早期に認知できるであろうし,保健婦こそ地域に生ずるがんに関する保健問題を,最も早く入手できる立場にあることを強調しておきたい。
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